歴史の一こま scene of history 2005 5 12
はるか昔、アテネやスパルタという市民社会的な国家がありました。
そうした国家においても、光と闇の部分がありましたが、
やがて、闇の部分が大きくなり、衰退へと向かうのです。
いつ終わるとも知れない戦争により、市民軍の戦死者が増え、
また、貨幣経済の発展により、理想とされた市民社会にも貧富の格差が拡大したのです。
こうして、市民社会的な国家を支える「市民」が、没落していったのです。
こうした国家においては、市民が、「市民軍」を形成していましたので、
市民の没落と共に、軍隊を維持できなくなり、やがて、傭兵を用いるようになりました。
同じようなことは、後に成立したローマ帝国でもありました。
拡大を続けたローマ帝国において、属州から流入する安価な穀物により、
ローマ帝国を支えたイタリアの市民(中小の土地所有者)が没落していったのです。
また、重装歩兵として従軍した市民は、いつ終わるとも知れない戦争によって、
戦死したり、経済的に困窮するなどして、さらに苦境が重なりました。
こうして、ローマ帝国は、傭兵に頼るようになりました。
あまりにも拡大したローマ帝国は、あまりにも拡大した国境線を守るために、
数多くの軍隊を維持する必要があり、結果的に、傭兵に対する依存度が高くなりました。
同時に、帝国の財政的な負担が大きくなりました。
その後、ローマ帝国は、東西に分裂し、
西ローマ帝国では、次第に皇帝の権威や権力が弱体化し、
同時に、帝国を支えていた中小の土地所有者が弱体化し、
大土地所有者に集約されていったのです。
西暦476年、西ローマ帝国は、傭兵隊の隊長であったオドアケルによって、
皇帝制が廃止され、その帝国の歴史は閉じました。
歴史は繰返す History repeats itself. 2005 2 2
今は昔、ある本(2001年12月31日出版)には、
このようなことが書かれていました。
「イラク人は、長く続く困窮生活に、うんざりしているが、
それでも、サダム・フセインに対し、文句も言わないし、非難もしない。
なぜならば、強引な指導者が倒れたら、
イラクは内戦状態になると、誰でも知っているからだ。」
これは、イラクの「複雑な民族、複雑な宗教、複雑な部族」を考えれば、
やむを得ないことかもしれないと、本を読んだ時に思いました。
さて、2005年の現代。
サダム・フセインに代わって、アメリカ軍がイラクを支配しています。
おそらく、イラク人は、アメリカ軍の支配には、うんざりしているが、
それでも、アメリカ軍に対し、文句も言わないし、非難もしないかもしれない。
なぜならば、強引な指導者(アメリカ軍)が撤退したら、
イラクは内戦状態になると、誰でも知っているからだ。
なぜ、歴史は繰返すのか。
人間は、反省をしないと、同じ過ちを犯す。
その人間が歴史を作っているから、歴史は繰返す。